
ストレッチなど、筋肉を伸ばすことは身体にとって有意義です。
しかし、多くの人が筋肉について誤解している点があります。
たとえば、身体を後ろに大きく反り返らせた時、腹部の筋肉が伸びます。
ところが、この動きを行っているのは反対側の背部筋がメインです。
腹筋は、反り返りが行き過ぎないよう、角度のセーブの為に働くのみです。
何が言いたいかというと、筋肉の働きは(基本的に)「縮むこと」。
つまり、「伸ばす」という働きは本来筋肉にはないのです。
関節を伸ばす時も、”筋肉”は縮んでいます。
例を挙げると、膝を曲げた状態から伸ばす時、メインで働くのは大腿四頭筋です。
太ももの前側にあるこの筋肉が縮むことで、膝関節は曲がった状態から伸びます。
もちろん、場所や角度によっては重力や慣性で曲げた関節が伸びる事もあるでしょう。
ですが、多くの人は筋肉が自分の働きで縮んだり伸びたりしていると思っています。
実際は、筋肉は縮むことしかできません。
先ほど挙げた反り返りでの腹筋伸ばしの際も、その角度が過度になりすぎないよう、「縮む」ことでセーブをかけています。
このように、関節を反対に作用させる筋肉同士を「拮抗筋」と言います。
肘関節を曲げるのは上腕二頭筋、伸ばすのは上腕三頭筋。
どちらの筋肉も、「縮む」ことで関節を曲げたり伸ばしたりしています。
筋肉は常に縮もうとしているので、その緊張をとる為には伸ばすことが大事なのですね。
筋肉は縮むだけ。自ら伸びる事はない。力を抜くことで緩むことはあっても、働きとして伸びたりはしません。
おそらくですが、関節に曲げ伸ばしがある関係上、筋肉にも伸びるようなイメージがあるのでしょう。
しかし、ストレッチなどで筋肉を伸ばす際は、イメージや意識が重要になってきます。
具体的には伸ばしたい場所へ意識を向け、かたまりが引き延ばされ徐々に伸びていくようなイメージです。
ジワジワと線維がほぐれていくような、そんな感覚で行ってください。
急速にエイヤァッ!と伸ばしてしまうのは、怪我の元です。
皆さんも誤解なく、正しいイメージと意識を向けながらストレッチを行ってください。