
前回、身体の感覚について述べました。
では、身体の感覚に対して、敏感な方と鈍感な方と、どちらが良いのか……という考察です。
こう言ってしまうと、敏感=優秀、鈍感=拙劣につい思ってしまいがちですが、果たしてそうでしょうか?
前回の内容でも述べましたが、身体の感覚はバランスが重要です。
筋肉がけっこう硬い人でもバランスが整っていれば辛く感じなかったり、逆に少し硬いだけの人でもバランスが崩れていると辛く感じたり――。
硬さとバランス、両方の兼ね合いで感じるので単純ではないという事でした。
ではまず、鈍感な方。
鈍感な方は、総じて身体に疲労が溜まったり、筋肉の緊張が強くなっている事に気付きにくく、放って置いて対処が遅れてしまうケースが多いです。
つまり、慢性や重症になってから治療を始めるのでなかなか大変で治りにくいです。
また、身体の良い変化にも気付きにくいので、治療を始めてから改善を実感するまでやや時間がかかる傾向にあります。
次に、敏感な方。
小さな変化やバランスの乱れにも敏感で、気になってしまう為に治療を開始するのも早く、わりと急性の段階で対処する事ができます。
身体が改善された事にも敏感で、けっこうあっさりと良くなって完治へと至る事が多いようです。
ただし、敏感な方は些細なバランスの乱れをも感知してしまうので、少しの負担や疲労による変化も感じ取り、身体が気になってしまいます。
そうすると、歩き方や立ち姿に変化が起きます。無意識の内に気になる箇所を庇い、さらにバランスが崩れてきます。
結果、「敏感に感じ取った」が故に、身体に症状を発症させる事になるのです。
これは、鈍感な方には起こりにくい現象です。乱れが「多少」である内は気付かないので、無意識に庇って悪化させることが無いからです。
敏感な人は敏感であるが故に、弱点のようなものがあるわけですね。
つまり、敏感も鈍感も一長一短。決してどちらが良いという事ではなく、あえて言うなら「普通」や「平凡」が一番かもしれません。
鈍感な方は総じて重症や慢性になりやすく、敏感な方はすぐに身体が気になって自らバランスを崩しがち――。
もし当てはまるなら、鈍感な人は定期的に治療を受ける仕組みを、敏感な方はセルフストレッチなど微調整できるように心がけましょう。