
人間の感覚は、非常に個人差が大きいです。
よくある話ではありますが、平熱36℃台の方が37℃後半出てしまうと、発熱時特有の怠さで辛く感じるでしょう。
しかし、仮にインフルエンザなどで39度後半出た翌日に37℃台後半まで下がっていると、むしろ身体が軽く楽になったように感じてしまいます。
同じ37℃台後半でも、その前や普段との差で、楽に感じたり辛く感じたりするわけです。
それと同じで、人の身体のコリや硬さもの感覚も、「普段や直前までの差」から来ています。
「少し肩こりがある状態」は、昨日が「全然こっていない状態」なら辛く感じ、
「かなりこっている状態」からならマシになったように感じるでしょう。
このように、人の感覚は実際のところかなり適当です。
他にも、人間の感覚を左右する条件が幾つかあります。
たとえば、こんな違いがあるとします。
A:筋肉がけっこう硬くなっているものの身体の左右上下バランスはとれている人。
B:筋肉は少し硬い程度だが身体のバランスが崩れている人。
一見するとAの方が筋肉の状態は悪そうですが、おそらく感覚的に辛く感じるのはBの方です。
この場合、「バランスがとれているか」がその人の身体の感覚に少なくない影響を与えているわけです。
単純な筋肉の硬さより、左右の差や上下の兼ね合い――。
イメージしてみてください。身体がどちらかに大きく傾いた状態だと、左右差が気になってしまいますよね。
少し硬い程度でも、(気になって)感じ取ってしまうのです。
さらに、気になってしまった時点で、身体には余計な緊張が加わっています。
アンバランスな状態そのものが、さらなる緊張を呼び込むと言っていいかもしれません。
逆に、バランスが整っていると気になる要素が少ない為、硬さもあまり意識せずに済みます。
このように、人の感覚というものは絶対的ではありません。
今自分の身体が楽なのは、本当に状態がいいからなのかバランスが取れているだけなのか、慎重に見極めなければなりません。
自らの身体の管理を専門家に任せるのもいいですが、己の身体との対話は怠らないようにしましょう。
普段から積み重ねたものだけが、自分の糧となります――。