
腰が痛いのでストレッチしたら、硬くて痛い。あまり曲がらない。伸びた気もしない。
これって効果あるのかなー?
・・・自宅などでストレッチをしていて、こんな経験はありませんか?
実は、腰を伸ばす為には手順が大事です。
正確に言えば腰だけじゃないのですが、特に腰は手順が重要なのです。
ストレッチの効果を最大限に引き出す為に、必要な知識を頭に入れましょう。
①全身の筋肉たちは常に綱引きをしている。
運動に関わる筋肉のほとんどは関節をまたぐように骨へと付着しており、
筋肉が硬く縮こまると運動時以外でも骨を引っ張るようになって捻じれや歪みが生じます。
例として、臀部(お尻)を主に考えてみます。
大腿の筋肉が硬く縮こまると、臀部の筋肉は下へと引っ張られます。
逆に、腰の筋肉が硬く縮こまると臀部の筋肉は上へと引っ張られます。
臀部は上下から引っ張られ、かなり余裕のない状態と言えます。
そして臀部自体も硬く縮こまると、今度は逆に腰や大腿を引っ張ります。
互いに相手へと負担を押し付け合うような、綱引き状態ができあがるわけです。
慢性の症状がある方、全身に疲労がある人などは、身体のあちらこちらでこの綱引き状態が展開されています。
中でも、身体の中心に近い部位ほど、上下左右色々なところから引っ張られます。
そう、腰は全身の中央にあり、背中やわき腹やお尻と、ほぼ全方位と綱引きをしている箇所なのです。
②余裕がない、綱引き状態の筋肉を緩められるか?
では、そんな腰をいきなりストレッチして、どこまで伸びるのか。
イメージしてください。あちこちで綱引きをしている人に、力を緩めてみろと――。
・・・無理ですよね。腰だけ伸ばして緩めようとしても上手くいかない原因は、ここにあります。
一方向からなら、まだ緩んでもそちらへと引き寄せられるだけ。上か下か横か――。
ところが、もし上下から同時に引っ張られていたら・・・これ以上伸びたくても伸びられない状態ですよね。
③周りからの引っ張りを先に取り除いておく。
それならば、腰の周りを先に伸ばして腰をなるべくフリーにしてあげましょう。
ですが、先ほども述べたように、腰を下から引っ張っている臀部もまた、腰や大腿部と綱引きをしている最中です。
そして、大腿も臀部や下腿と綱引きしています。
・・・そうなのです。腰をしっかりと伸ばそうと思ったら、全身を伸ばす勢いになってしまうわけです。
まずはアキレス腱やふくらはぎを伸ばして、大腿の前後ろ内側を伸ばして臀部を伸ばし、
肩甲骨周りを伸ばしてから脇腹を伸ばし、ようやく腰はしっかり伸びる環境になりました。
これは大変ですね。時間も相応にかかりますし、根気もいります。
ちなみに、腰と綱引きをしているメインの箇所は、臀部と背中と脇腹です。
どんなに時間が無くとも、この三か所だけは伸ばしてから腰をストレッチする事をお勧め致します。
④大変な反面、思わぬ利点もある。
ここまでの説明で、いきなり腰をストレッチしてみてもあまり伸びないわけが、お判りいただけたかと思います。
ですが、周りの関連部位から伸ばしていくというやり方には、大変というだけではなく利点もあります。
その一つ目は、周りも同時に伸ばす事によって、腰を庇える態勢を作ることが出来ます。
もう一つは、「本当に問題のあるところがわかりやすくなる」ですね。これが意外に重要です。
というのも、「腰が痛い」と言いつつも本当に硬い(悪い)ところは臀部だったり脇腹だったりと、そういうケースが非常に多いからです。
その場合、腰を伸ばす前、臀部や脇腹が伸びた時点でもう既に楽になったと感じたりします。
もしくは、腰が思ったほど硬くないと気付いて、結果的に他の部位へ眼を向ける機会にもなるようです。
臀部の場合は坐骨神経症状がある方、脇腹は座りっぱなしの方や寝ていても腰が痛い方、背中は姿勢が悪い方や側弯がある方などが、それぞれ腰以外の原因で腰痛を起こす事が多いですね。
今回は腰を主題に話しましたが、あちこち綱引きしているのは何処も一緒です。
毎日できるセルフストレッチだからこそ、可能な限り時間をかけて最高の効果を出しましょう。