
頭痛や腰痛など、身体の色々なところで痛みは出ます。
以前の内容にて、「痛みは身体からのサイン」と言いましたが、
できることなら痛みの無い生活を送りたいですよね?
ところで、痛みが無い=治った=身体に問題がない
・・・ではないですよね?
身体には「周辺抑制」というシステムがあって、優先順位を付けてサイン(痛み)を発しているわけですから。
つまり、
①痛みがない⇒ちゃんと治っている。完治状態。
②痛みがない⇒ギリギリ出ていない状態。気圧の変化など些細な影響でまた痛み出てくる状態。
③痛みがない⇒他にもっと悪いところがあって感じていないだけ。痛みある時となんら変わりない状態。
これら①~③のどれも、「痛みがない状態」ではあるのです。
自分の身体が今、①なのか②なのか、自信を持って判断できていますか?
筋肉のこわばりや硬さなど、判別する為の材料は幾つかありますが、正直「治った。完治だ!」と思いたいですよね。
ですが、この現象で一つ問題があります。
それは、子供や学生時代の怪我です。
若く健康な身体は、怪我した後でも、痛みさえなければ幾らでも無茶できてしまいます。
特に運動部などで試合や大会が控えていると、
「少し痛いけど大丈夫!」や「痛みもう消えたから走れる!!」
と、なりがちです。
もちろんたいていのケースでそのまま大丈夫ですが、後になって問題が発生致します。
そう、『古傷』というやつです。
若い時のその「痛みがない」状態が①であれば良いのですが、
多くの子供や学生はきちんと治療を受けきらずに②であることが多いようです。
その結果、壮年や老年になって痛みが再発したり、長年庇い続けた周りの部位に障害が発生することが多発しています。
若い時は筋肉量でカバーできていた事が、加齢による衰えからできなくなるからです。
痛みがなくなったので大丈夫と思い込み、壮年になってから古傷の影響で苦しむ。
おそらくずっと前から繰り返されている、人類の小さな小さな過ちですね。
「筋肉があるかないかで、そんなに違う?」
そう思うかもしれませんので、一つ例を挙げます。
腰椎椎間板ヘルニア。椎間板という軟骨が飛び出て、神経を圧迫する事で痛みや痺れが出る疾患です。
その腰椎椎間板ヘルニアの患者さんでも、腰痛など症状には日々差があります。
痛みに波がある=軟骨が出たり引っ込んだりしている?
違いますよね。軟骨はそんなに頻繁に動いたりはしないはずです。
それよりも、周りの筋肉の状態などで、痛みに増減が生じている事がほとんどです。
痛みの元とは別に、筋肉の状態が症状を左右しているわけです。
いずれにせよ、若く無知な頃の怪我が原因で後に苦しむ、そんな繰り返しは終わらせたいものですね。
痛みがない=完治とは限らないという事を、よく理解して日々を過ごしましょう。