
治療を受けるとき、毎回のように「緊張が強いですね」と言われる。
たいした事をしていないのに疲れたり、すぐに身体がこわばる。
運動時など、「余分な力が入っている」と言われたり、動きが自分のイメージより硬くなってしまう。
これらは、身体の脱力が弱い、もしくは足りていない状態であることを示します。
「いや、力なんて入れてないし、緊張もしてないよ」
そう思うかもしれません。その感覚は間違いではないです。
間違いなのは、力を入れていない=脱力の認識の方です。
身体の力み状態をざっくりと分けて並べてみると、こんな感じだと思います。
①意識して力を入れている。(運動時や作業時)
②意識して力は入れていないが、無意識に力が入ってしまっている。(緊張状態)
③意識して力は入れておらず、緊張もしていない。(平常時)
④意識的に脱力できている。(リラックス状態)
⑤無意識で脱力できている。(就寝時。夢見で力入るとかは別問題)
要するに、②~④を一つにして考えてしまいやすいのです。
もし余分な力が入りすぎて悩んでいるようなら、まずは②~④を分けて考えましょう。
特に自分が②と③のどちらの状態なのか、把握する事は重要です。
では、実際に脱力する為に必要なコツとはなんでしょうか?
A:脱力したい場所を意識しながら息を吐く。
B:力を必要としない姿勢を作る。
二つあるので、それぞれ解説していきます。
まず「A」ですが、背中や脇腹など、呼吸に関わるところが特にわかりやすいはずです。
やや大きめにゆっくり吸い込んだ息を、そのまま吐くだけ。ただし、吐く時にそれぞれの場所へと意識を向けてみましょう。
肩に意識を向ければ、両肩ともストンと落ちるでしょう。
背中は少し広がり、脇腹はわかりやすく柔らかくなるはずです。
これらのわかりやすい場所で脱力の感覚を掴んだら、その後大腿など足で試してみましょう。
息を吐く=力が抜けていく、を関連付けることがポイントです。
ただし、ことさらに大きく息を吸ったり吐いたり、ゆっくり長く吐こうと意識しすぎると、
かえって力んでしまう方も多いようです。特に②の方々。
たしかに自然に吸うだけより『少し』大きくゆっくり吸って吐いての方がいいですが、
ほんの少しで大丈夫です。吐けば吐いただけ脱力できる……というわけではありませんので。
続いて、「B」の方です。
こちらもわかりやすい例を挙げます。
まず、普通に立った状態や座った状態で、両手の指で首の後ろを触って筋肉の硬さを覚えておきます。
次に、斜め上前方を見るように首だけ動かします。
この時に、角度としては頭蓋骨が体幹(脊柱)の上にしっかりと乗るような、体幹に下から支えられているような姿勢を心掛けてください。
大事なのは、頭蓋骨を体幹に乗せることです。
その状態から、顎先を軽く引きながら首の角度を戻します。顔がまっすぐ前を向く状態です。
再び両手の指で、首の後ろの筋肉の硬さを見てください。
最初の姿勢の硬さより、確実に柔らかいはずです。
これは、普段まっすぐと思っているはずの首の状態が、体幹の上ではなく前側に出てしまっていることを意味します。
重い頭が前に出てしまって、それを支える為に首の後ろが緊張して、力を入れて支えているのです。
このように、姿勢によっても無意識に力が入ってしまいます。
普段から良い姿勢をしている人とでは、疲労度の積み重なりが違うわけです。
あなたは普段、②ですか? ③ですか? ④の時間をある程度保てていますか?
身体に負担が少ない姿勢を心掛けること、息を吐いて意識的に力を抜くこと。
これら二つのコツを念頭に置いて、無駄な力みなくリラックスした毎日を送りましょう。